やずやを知る

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やずやを知る(やずやのこだわり)

vol.03 同じ魚でも、どう料理するか。創意工夫こそが和食の楽しさです。

この夏、かねてより訪れたかった北欧を旅してきました。福祉が充実した国の人々は、老後も悠々自適の人生を送っているのだろうと、私も還暦を過ぎたら自分の目で確かめたいと考えていたのです。現地では、ノルウェー人と結婚した日本女性にガイドをお願いし、ふつうの家庭から老人ホームまで、たくさんの暮らしぶりを見せていただきました。

さすがに森の国だけあって、家具はもちろん車椅子にまで明るい白木が使われています。部屋のアクセントに配しているのは鮮やかなイエローやグリーンなど、日本では考えられないようなきれいな色。北欧の人々の色に対する感性のすばらしさにうならされました。

7月はちょうどバカンス・シーズンで、人々は夏の陽射しを浴びることに一生懸命。短い夏が終わると一気に冬が来て、まるで皆既日食のように日中も太陽の出ない日が、数ヵ月も続くそうです。だから建物の中に美しい色をとり込む文化が育まれたのでしょうね。

一方、食事にはびっくり。メイン料理はおなじみの鮭や鱈ですが、私が見たものはボイルしたものばかり。ほかの調理法はないの?…と首をかしげたくなるくらい料理方法が少ないのです。ガイド役の女性に聞いたのですが、彼女が鮭のムニエルを作ったら、ご主人の家族が「なんとすばらしい!」と大喜びし、手づくりのコロッケに到っては拍手喝采とか…。

私は日本の豊かな四季に感謝せずにはいられませんでした。日本人の繊細な感性は、春夏秋冬の生活の中でつねに訓練されています。食事ひとつにしても、夏は素麺に氷と緑の葉を浮かべて涼しさを演出し、冬は鍋料理の湯気であたたかさを感じさせる。四季を楽しむために創意工夫するところから、料理法も煮る、焼く、ゆでる、揚げる、炒めるなど多彩になっていったのではないでしょうか。以前、夫が「キミの料理は、給料日より、給料日前のお金がないときが一番おいしい」と言っていました。創意工夫ほど料理をおいしくするものはありません。最近、その楽しみを手放す日本人が増えていることはとても残念です。食をとおして生活を楽しむ幸せを、もう一度見直す時代がきてほしいものです。

ちょっと近況

野菜の勉強を始めた途端、「幻の人参」と運命的に出会い、
やずや専用畑で栽培してもらっています。
完熟させておいしいジュースを作る予定です。

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